オッサンのブラリ一人旅(お菊神社~お菊伝説Ⅳ)

 お菊伝説の4回目です。
 我々が、イメージするお菊伝説の中で、命を落とす経緯には、いくつかに分かれていると思います。
 番町皿屋敷に見られる、お菊自身の、粗相で皿を割ってしまい(或いは紛失)。主の怒りを買い、責め殺されたり、井戸に身を投げたりするパターン。
 主やその周りの者に、陥れられ、身に覚えのない罪で命を落とすパターン。
 お菊が、わざと皿を割ってしまうパターン。が有ります。
 更に、主従関係から見ると。主から言い寄られそれを拒否し陥れられる場合と、主と相思相愛の仲でありながらそれを引き裂こうと陥れられるパターン。主とは色恋沙汰は存在しないパターンが思い浮かびました。
 以上のパターンから、一般的なイメージに近いお菊伝説が有りました。高知のお菊伝説がそれです。

 土佐国幡多郡に移り住んだ、元・伊予藩士山瀬新次郎の妻・瀧は地元の名主に奉公していました。名主の縁者・青山鉄三郎は、名主の妾と通じていましたが、それだけでは飽き足らず、瀧にも横恋慕しました。しかし、瀧に拒否され、瀧が管理する秘蔵の皿の1枚を隠します。名主は鉄三郎に取り調べをさせます。鉄三郎の折檻に耐え切れず、瀧は滝に???身を投げ自害しました。その怨念が皿を数えるようになったとの事です。
 高知の物語では、お菊が瀧になっています。滝を古井戸に置き換えると、一般的な皿屋敷になります。
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 又、悲恋物語としてのお菊伝説も存在します。子供の頃テレビで見た皿屋敷は、主とお菊の仲を引き裂こうとした家臣に陥れられ命を落とし、幽霊となり古井戸から皿を数えるものでしたが、主から誤解が解けて成仏するものでした。それに近い話が近江の皿屋敷伝説です。これを基に大正時代に戯曲が発表されたものも有ります。

近江の皿屋敷です。
 彦根藩重臣・孕石政之進は、奉公人のお菊と恋仲でした。しかし、身分の差もあり添い遂げることは困難を極めました。そんな折、政之進に縁談が持ち上がりました。そこで、お菊は、政之進の心を確かめるため、将軍家から賜った家宝の皿の一枚を割り、政之進に報告します。最初、政之進はお菊の粗相であると思い咎めませんでした。ところが、お菊が故意に皿を割っている処を目撃していた者が居ました。真相を知った政之進はお菊を叱責し、お菊に対する愛を訴えました。お菊は自分の浅はかな行いを恥じ手討を申し出ます。清之進はお菊に「生涯、妻を持たない」と、お菊に伝え、これに対しお菊は「うれしく思います」と言い残し手討にされます。その後、政之進は、藩を去り諸国を行脚し、駿河に流れ着きそこで、天寿を全うします。
 これが、近江のお菊伝説です。これはかなり信憑性が感じられます。芝居や、浄瑠璃が発表される百年程前の出来事であり、お菊も幽霊に成ったり、呪ったりもしていません。だからと言ってお菊伝説の元という訳ではありませんが・・・戯曲では、主の心が荒れ果てて行くのに合わせて、家も荒れ果てるものですが、伝説に忠実な物語の方が感動的だと思うのですが・・・
 考えるに、高知のお菊伝説と、近江のお菊伝説を基に時の作家がアレンジを加えて、我々がイメージする皿屋敷が出来上がったのではないか?と考えています。
 落語にも、お菊伝説を取り上げたものが有ります。次回はそれについて述べたいと思います。

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